ラムサは会社創立8周年となり 9期を迎えました
前期、舞台と客席について基本設計・コンサルに関わったTHEATER MILANO-Zaが完成しました。
約四年前に事業者様より、「設計の終わっている劇場を見直してほしい」とご依頼を受け、施工途中で実現可能な範囲で、与条件に対し理想と考える劇場の姿に近づける提案をしましたところ、大きな変更にもかかわらず採用が決まりました。事業関係者、設計者、施工者皆様のご英断と変更に伴うご苦労にはひとえに感謝しております。長年私は劇場の姿を追求してきましたが、その成果が MILANO-Za において結実しました。
劇場では観客が舞台を見やすいことが求められますが、これは設計者にとっては実に難しいのです。客席から舞台が見えない、見づらい、あるいは遠すぎる劇場等が完成することは今日でもよく見られ、時折主に小柄な女性からSNS等で不満が炎上します。しかし設計者も劇場コンサルも手を抜いていた訳ではなく、残念ながら理解力が不足したか、技量よりハードルが高かっただけと考えられます。
多様性の時代にふさわしい【身体寸法に関わらず誰もがよくみえ 包まれ 近く感じる】劇場・アリーナ・スタジアムを容易にかつ確実に実現するためラムサが開発※した手法は、観客からの見え方を数値化・視覚化し、関係者(事業者・設計者・主催者・観客)が事前に共有可能な設計支援方法です。プロジェクトの初期段階からこの手法を用いることで致命的な欠陥を未然に防げます。
このような手法は、従来からのサイトライン設計とは別次元のレベルになっており、顧客から理解と信頼を得ています。これは新たなアプローチを含むと考え【視覚設計】として私は位置づけています。ここから生まれた総合的な発想により客席の形状が調整され、舞台と客席の一体性が高まり、相互の距離が縮まるので、会場には高い親密感が実現できます。シアター・オーブ※※やMILANO-Za は最先端の専用劇場ですが、これらに限らず公共ホール・アリーナ・スタジアム等においてもラムサの視覚設計は応用可能になっています。
※共同開発 ※※前職の日建設計在籍時に担当
代表取締役 西 豐彦