ラムサは今年の6月末で創設満8年になります。私は学生時代から劇場・舞台等に関わってきましたが、8年前に50代半ばで、それまで勤務していた会社から独立して、劇場設計・コンサルで身を立てるようになるとは、かつては思ってもおりませんでした。

 昨年は劇場・アリーナを始めとする観覧施設(ヴェニュー)において、サイトラインもしくは見え方について、社会の注目が集まったエポックでありました。これは劇場における見え方に一貫してこだわり研究を進めてきた弊社にとっては追い風になり、多数の引き合いをいただきました。お客様も官民の事業主、大手設計事務所、ゼネコン設計部門/施工部門他多数に渉っており、世の中の関心が並々ならぬものであることを感じました。

 観覧施設は音楽、舞台芸術、スポーツ等を観る、聞く、一体感を共有する、という基本的な目的があります。この内、【観る】と【一体感】は視覚に大きく依存しています。しかし見ることは一見容易なので、聴覚的なことに比べると、あまり設計技術としては解明されてこなかったと考えられます。その結果、小柄な体形の演劇ファンの多くが、折角の舞台が見えずに悔しい体験をするような、【見えない劇場】ができることになっているのです。これはいまや社会問題となっています。

 またアーティスト・プロモーター・スポーツ関係者は、会場の一体感を重要視し、【一体感の乏しい会場はなるべく使いたくない】という声をよく聞くようになりました。これは特に東日本大震災以来顕著であると私は考えています。

 前の人の【頭や手摺で舞台や競技エリアがみえない】、また【遠くて見えない】。【観客席から見て会場全体との一体感が乏しい】、【舞台から見て観客の一体感が乏しい】など、悩ましい施設は今後は作ってはならないし、作った後で大改修を行ったり取り壊すなどの手戻りは一切避けなければなりません

 多くの劇場・アリーナ・スタジアムは、社会やコミュニティを支える重要なインフラであり、収益に関わらずその地域にとってかけがえのないものであり、多くは巨額の資金と労力と長い年月が投入されるからです。

 弊社は30年以上、研究してきた設計技術を、【観覧施設の視覚設計】として、コンサルティング/設計支援 を体系的に提供することができます。科学的かつ実証的に手戻りなく下記の観覧施設の三大要素をハイレベルで実現することで、後々手戻りなどお困りごとが生じないようすることができます。

【誰もがよく見え】=身体寸法多様性に配慮したサイトライン > 観客視線のサイトライン数値検証法 ※

【包まれ】=会場の一体感 > 一体性の数値化技術 ※

【近く感じる】=親密性 > 親密性の数値化技術 ※ 

※は弊社開発の特許技術であり、精度の高いシミュレイションにより、計画段階から関係者が共有することが可能です。

株式会ラムサ 代表取締役 西 豐彦