ウロコ理論 ウロコ方式 ウロコ配置 ウロコ座席設計 とは ラムサ 西 が提唱している設計概念です
The scale seating system となりますが、scale はここでは尺度、縮尺、音階等ではなく魚などの鱗の意味です
この方式による座席配置と 観客目線の数値検証を併用することにより、小柄な人(女性等基本的に眼の位置が低い人)もプレイ中心部が高い確率で見えるようになります
ウロコである座席がパーセンテジが高いほど、ある観客にとって前の人が大柄な場合は、小柄な人が見やすい可能性が高まり、
すべての座席がウロコである客席は、小柄な人がどこに座っても、見やすい確率が高まります
その断面設計と座席配置は決して容易ではないので、そのノウハウは業務の中で提供しています
ウロコ方式 とは
ウロコ方式:ウロコ理論に基づく観客席の設計方法 千鳥配置を拡張したものともいえますが、中央ブロック以外の全てのブロックに応用できます また千鳥配置にすれさえすれば、中央ブロックが見やすくなるという安易な考えは否定しています 中央ブロックで千鳥配置でも、頭間視野が通るとは限りません
ウロコである:特定の座席がウロコ理論を満たしている状態にあり、ウロコ状態にあること
ウロコ理論 とは
まず、ある座席から、演技中心にある注視点に対し、高い眼高の観客から1列前の観客の頭越しの視線(頭間視野)が通り、
かつ低い眼高の観客から2列前の観客の頭越しの視線が通るとします。これは基本的に、弊社のView-esT© 数値検証システムを用いれば容易に実現可能になりますが、検討段階では作図やCGを用いると数千から数十万回の試行錯誤が必要で効率的ではありません 最終的な検証としてはパナソニック社によるVRシステム View-esT© が有効です (同じ商標を共有)
次に、重要なことは座席の向いている方向が、プレイの中心方向であることです。プロセニアム式の舞台であれば、舞台端のセンター方向に座席が向いていることが理想的なので、扇形や矩形の客席よりも、馬蹄形で同心円状の客席が適しています。アリーナやスタジアムであれば、円形劇場や楕円形客席が適しています この向きが外れるとウロコ配置は成立しません
三つ目に、ある座席からプレイ中心方向を含む頭間視野が確保されている時、その座席はウロコ状態にあると定義します
四つ目に、前列、前々列の観客の頭よりも不利な視線障害物がなく視線が通ること、例えば1列前の頭越しよりも上に手摺やガラス等が見える場合は、ウロコ状態は成立しないことになります
五つ目は重要なのですが、座席配列における前後のピッチに対する左右のピッチの比が大きいことです。前後1m左右50cmでは、前後90cm左右55cmの場合に比べ、ウロコ状態が成立する確率が低くなりますが、舞台からの距離が遠めの場合は必ずしもそうではありません
六つ目、最後の条件は、観客の視点から、プレイ中心部への距離が一定以下に収まっていることが必要です 遠ければ結果的には鑑賞が困難だからです
ウロコ状態にある座席からは、
高い視点からは注視点と同じ距離と高さ以上にある舞台上の点がすべて見え、
低い視点からは注視点と同じ距離と高さ以上にあり、かつ頭間視野の範囲にプレイの中心領域がすべて見える
そして動作や表情が近くできる距離の範囲にある ということになります
言葉の定義
プレイ中心:その演目または競技において、主役の演技がもっとも頻繁に行われる舞台上の場所、一般的には舞台中心軸上で、舞台先端(つら)が最も望ましく、3mから2間(3.6m)に譲歩した範囲
プレイ中心領域はプレイ中心から約半径3m(演目・競技により拡張する場合がある)
その高さは、舞台面等の床面から2.2mの範囲(場合により3mまで拡張)
クラシック音楽においては、指揮者やソリストが立つ場所、
ポピュラー音楽においては、メインボーカリストが立つ場所
野球などプレイの中心が明確な運動競技においては、バッテリー間や投手の位置など
ボクシング、相撲等の格闘技では、リングや土俵等 勝負が行われる場所の中心
注視点: サイトラインのターゲットとなる点 中心において舞台等の床面から高さ1.5m で演目または競技によって異なる
小柄な人:壮青年男性の平均的な身体寸法より、眼高が7cm低い人を指す。壮青年の女性の約2/3が通常カバーされる確率
高い眼高:客席段床の床面から、壮青年男性の平均的な目の高さ 座位と立位があるが、
人種により異なり、座位の場合は椅子の形状により異なる
高い視点:高い眼高における眼の瞳孔の位置 通常は両眼の間だが、左右のいずれかを用いることもある
低い眼高:高い眼高から8cmまたは7cm低い位置 (椅子の座面の弾力性が一定の条件を満たすときは7cmでも成立する)
低い視点:高い眼高における眼の瞳孔の位置 通常は両眼の間だが、左右のいずれかを用いることもある
頭間視野:客席の具体的な座席配置がある時、舞台方向に向かったときに、直近の席(通常は前列)の二者の頭の間に確保される視野(頭間視界 view between heads)に、
両眼で見た場合、右目か左目の一方の単眼だけで見える視野(monocular field of sight)を加えたもの
視線が通る:鑑賞者の視点と、注視点の間に、光の媒体となる空気(視覚の障害にならない程度の浮遊物を含む)以外の障害物がないこと
なお UROCO は現在登録商標を申請中です 代表取締役 西 豐彦