顧客の皆様にはおかれましては平素よりたいへんお世話になっております
ラムサは劇場など観覧施設における視環境(見え方)について調査研究を続けてきました。
いうまでもなく劇場の基本的な機能は、観客が舞台を見ることです。
人の身体寸法は同じではなく、ばらつきがあります。例えば客席に座った時、前の席の背が高く見えないことはよく起こりますが、従来の設計法はこれは想定していません。結果として女性の2/3の人は確率的に前の人の頭で舞台が見えない状態になっていました。既存劇場の調査は、実際はそれ以上に見えずらい施設や席が多いことを示しています。
多様性(DIVERSITY)を考慮するならばこれからの劇場は変わらねばなりません。ラムサはより多くの人が平等に舞台鑑賞できる劇場を目指しています。しかし大きな劇場の設計は複雑かつ高度な技術を要するため、経験を積んだ設計者にとっても、どの席からも見やすい設計は難しいとされてきました。
それを支援するため、従来のサイトライン設計法に変わる新しい評価方法(プログラム)をこのたび開発しました。この方法の特徴は、設計法に連動した評価手法であり、舞台側ではなく鑑賞者の視点に立っており、弊社が持つ従来のものに比べてもさらに高速化しており、数千席の劇場から1万人のスタジアムでも、形状の修正に連動してリアルタイムに全体の詳細なシミュレーションが行えます。各座席が持つさまざまな視覚的な属性が同時にわかります。さらにその結果はVRと組み合わせることによりよりビジュアルな検証が可能になるといえます。
また劇場、音楽堂、アリーナ、スタジアムにとって重要な一体感(一体性)すなわち包まれる感覚を客観的に評価する手法と、親密性すなわち近さ(親密感、演者にとっては観客が目の前に詰まっている感じ、観客にとっては舞台や競技面が近く大きい感じ)を客観的に評価する手法とを、体系的な視覚設計技術として開発・確立しています。